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レッツ様式美!
2009年05月04日

私はわりと厚顔無恥なほうなので、1ヶ月ぐらい前の話を平気でしますが、先月のちょうど今頃、靖国神社で行われた夜桜能に行ってきました。夜桜能というのは薪能(屋外で、薪の灯りを利用して行われる能)の一種で、字の如く満開の夜桜の下で行われる幻想的な能の舞台です。

夜桜能は3日間連続で行われ、日ごとに演目が異なったのですが、私が行った日のメイン演目は「松風」という名作中の名作。「熊野(ゆや)松風は米の飯」(能の演目の「熊野」と「松風」は米の飯のようだ)という言葉もあるぐらい、何度観ても飽きが来ず、誰からも好かれると言われている…らしいです。

相変わらず写真を撮り忘れることにかけては右に出るものはいないワタクシなので(というかそもそも記録用に致し方なく撮るという以外に、何かを写真に収めるということにあまり興味がない)、例の如く写真はございませんが、そのかわりに? 本日はこれに関して「ほぉぉ~」と唸ったお話を。

先んじてまずはストーリーを説明させていただくと、そもそも松風は形式としては夢幻能と呼ばれる、オバケや幽霊が主役となる能です。
松風というのは主役の名前。つまりこのヒトは幽霊です。若く美しい海女さん…の霊なんですが、まだ生きていた頃、在原行平という貴族が彼女たちの住む田舎の海に流刑で流されてきたときに、村雨という妹と一緒に彼に見初められ愛されました。←うっわ、姉妹丼…というツッコミはとりあえずここでは禁止。

なんですが、あまりにも身分が違いすぎるため、その恋は結局実ることはなく、行平は都に帰ってしまいます。加えてさらに運の悪いことに、その後、行平は病で死んでしまいます。松風姉妹、精神的フルボッコです。

長いので畳みますがちゃんとSMというかエロ話に繋がりますwww
その心労のせいかどうかは知りませんが、程なくして松風・村雨姉妹も逝去。しかし行平への恋慕の情が断ち切れない二人は成仏できません。

しかも松風のほうは行平が置いていった烏帽子と狩衣を身につけ、浜辺の松を行平に見立てて狂気と妄執の赴くままに舞っちゃったりする始末。見かねた妹の村雨は一応「ちょww 姉ちゃん、それ行平じゃないしww 松だしwww」と止めるんですが聞きません。ガンガン舞います。

結局二人は、偶然その場を訪れた僧に自分達の供養を頼み、夜明けとともに消えていきます。

フザけた書き方をしましたが、兎にも角にも松風は、彼女の情念全開のヤンデレぶりが舞という形式の中でほとばしる様が見事な、様式美ここに極まれりといった態の名作です。←説得力? 何それおいしいの?

さて、ワタクシが思わず唸ってしまったというのは、今回同行していただいた観能ヴァージンの方のさりげない質問。このあらすじを簡単に説明したところ(能は最初にあらすじをチェックしておかないと大抵寝るから。ていうか私は寝ます)

「それって、松風が松とヤってるってことですか?」

…………………
一瞬、頭が白くなりました。ま、松オナニーですか!その発想はなかった!!(かぶれますよ)

でも考えてみたら舞と呼ばれるアクションの原型は、出産や性行為(神との)などを模したものであることが多いので、その発想がなかった自分をむしろ不甲斐なく思いました…。

※そもそも生命の神秘と可能性を示す行為を、それと類似性のある動きとして様式化することで、その付与されるものを無限に再現しようという試みというか願いが、舞のルーツだった…みたいです。うろ覚えなので間違っていたらすみません。

というわけで本日皆様に捧げたい言葉は「レッツ様式美!」

「なんか冷めちゃって、今イチセッションに集中できなくてさぁ~」「どうしても途中で素に戻って、恥ずかしいって思っちゃうんですよね~」などという貴方は、様式を重視したセッションをしてみたらいいと思うよ! 制服を着るのと同じで、「型」や「外見」が中身を規定するのはよくあることです。言葉遣い、仕草、距離感、衣装……古き良き、と呼ばれる様式美はSMの中にもいろいろあります。
あえて様式の型に自分の情熱を押し込むことによって、逆説的にそれがより赤裸々に表出するというのもあるし…何より、なんかヤラしいよね。
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コメント

そう考えると元ネタ(?)の百人一首の

立ち分かれ いなばの山の峰に生ふる 松とし聞かば 今帰りこむ


はSMにも通じる歌ですね。
~聞かば 今SM!
みたいな(笑)

おお
SM短歌作れそう!

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早川舞

Author:早川舞
 女王様と編集者の二足のわらじを経て、SM・フェティッシュ分野を得意とするライターに。

 共著『可笑しなヘンタイ図鑑』(宝島社)、『Girl’s Side Book』『Girl’s Side Dictionary』(池田書店)、オタクが腐女子に、さらに女王様になるまでを描いた自伝『女王様はオタクだった 腐った遺伝子』(大洋図書・電子書籍)等の著作がある他、北尾トロ氏責任編集『季刊レポ』(ランブリン)にてSMの歴史や女装をテーマにした記事を寄稿。SM専門誌・ウェブサイトでも活動。

 メンバー全員女王様ロックバンド「SEXLESS」なんてのもやってたり。


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